WordPressのサイバー攻撃が増加している
WordPressは世界中で最も人気のあるコンテンツ管理システム(CMS)であり、その使いやすさと柔軟性から多くのユーザーに利用されています。しかし、その一方で、その人気からか、WordPressを狙ったサイバー攻撃も増加の一途をたどっています。
インターネットの普及と共にサイバー攻撃も増加し、特に企業のウェブサイトは情報漏洩のリスクがあります。WordPressサイトはその狙い目となりやすく、その結果として、WordPressを対象とした攻撃は増加の一途をたどっています。ハッカーたちは、セキュリティ対策が不十分なサイトを見つけると、悪意のあるコードを挿入したり、個人情報を盗んだりします。
WordPressの人気はその使いやすさと拡張性によるものであり、個人から大企業まで、幅広い利用者がこのプラットフォームを利用しています。しかし、その一方で、その利便性がサイバー攻撃の標的になる可能性を高めてしまっています。
WordPressの脆弱性とは?
脆弱性とは
コンピューターシステムやネットワークにおける「脆弱性」とは、システムの設計、実装、または運用に起因するセキュリティ上の弱点を指します。脆弱性を悪用されると、不正なユーザーによるシステムへの不正アクセスやデータの改ざん、情報の盗み出しが可能となり、結果的に重大な被害を引き起こす可能性があります。
具体的には、ソフトウェアのバグや設定ミス、パスワード管理の不備など、様々な要因により脆弱性が生じます。また、新たな攻撃手法が日々生み出されるため、完全に脆弱性から自由であるとは言えません。
WordPressに脆弱性はあるのか
WordPress自体は堅牢なセキュリティを持つ設計となっています。しかし、それを構成するプラグインやテーマ、またはそれらを利用するユーザーの行動により、脆弱性が生じる可能性があります。
具体的には、プラグインやテーマの不適切なコード、アップデートの遅れ、弱いパスワードの使用などが脆弱性を生み出します。また、WordPress自体も進化し続けているため、新たなバージョンになることで新たな脆弱性が発見されることもあります。
WordPressの脆弱性の原因は?
WordPressの脆弱性の主な原因は以下の3つに分けられます。
アップデートの遅れ
WordPressやプラグイン、テーマの最新バージョンには、既知のセキュリティホールが修正されています。しかし、これらをアップデートせずに古いバージョンを使い続けると、既知の脆弱性を攻撃者に利用されるリスクがあります。
プラグインやテーマのセキュリティ
WordPressの機能を拡張するプラグインやテーマは便利ですが、それらが脆弱性を持つ可能性があります。特に信頼性の低い開発者から提供されるものは注意が必要です。
ユーザーのセキュリティ意識の低さ
弱いパスワードの使用や管理画面への不適切なアクセス許可など、ユーザー自身のセキュリティ意識の低さも脆弱性の一因となります。
WordPressの脆弱性が狙われやすい理由
利用ユーザー数が多い
WordPressは全世界で最も広く利用されているCMSであり、その市場占有率は約40%を超えています。この多くのユーザーを持つことから、攻撃者にとって魅力的な標的となっています。脆弱性を見つけ次第、その攻撃コードを広く拡散することで、多くのサイトに影響を及ぼすことが可能です。
オープンソースである
WordPressはオープンソースソフトウェアであり、そのソースコードは誰でも見ることができます。これにより、多くの開発者がコードの改善や新機能の開発に貢献できる一方で、攻撃者もこの公開されたコードを元に脆弱性を探し出すことができます。
簡単にWebサイトを作成できる
WordPressの利点の一つに、誰でも簡単にウェブサイトを作成できるという点があります。しかし、その一方で、この手軽さがセキュリティ対策の欠如につながることもあります。特にテクニカルな知識が少ないユーザーは、セキュリティリスクを理解せずにサイトを運用することが多く、その結果として脆弱性が生じやすい状況にあります。
WordPressの脆弱性を狙う攻撃の危険性
WordPressの脆弱性を狙った攻撃には様々な形があります。その中でも最も一般的なのは、Webサイトの改ざんや情報の盗み出しです。
Webサイトの改ざんは、その信用性を失墜させるだけでなく、訪問者に対する攻撃の手段ともなります。例えば、改ざんによりマルウェアを配布したり、フィッシングサイトへ誘導したりすることが可能です。
情報の盗み出しは、個人情報やクレジットカード情報など、ユーザーの機密情報が攻撃者の手に渡るリスクを伴います。特にEコマースサイトなど、大量の顧客情報を保持するサイトは、その情報が漏洩すると重大な経済的、法的リスクに直面します。
これらの攻撃は、サイトの信頼性を大きく損なうだけでなく、企業のブランドイメージやビジネスに大きな損害を与える可能性があります。
WordPressで注意するべきセキュリティリスク
不正アクセス
WordPressサイトへの不正アクセスは、最も一般的なセキュリティリスクの一つです。これは通常、弱いパスワードや未更新のソフトウェアを悪用して行われます。不正アクセスが成功すると、攻撃者はサイトの管理者と同等の権限を持つことができ、サイトの改ざんや情報の盗み出しなど、さまざまな攻撃を行うことが可能となります。
Webサイトの改ざん
攻撃者によるWebサイトの改ざんは、その信用性を失墜させるだけでなく、訪問者に対する攻撃の手段ともなります。例えば、改ざんによりマルウェアを配布したり、フィッシングサイトへ誘導したりすることが可能です。
DDoS攻撃
DDoS攻撃は、大量の不正なトラフィックでサイトを圧倒し、正常なユーザーのアクセスを防ぐ攻撃方法です。これにより、サイトは機能を停止し、ビジネスに大きな損害を与えます。
クロスサイトスクリプティング
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者が悪意のあるスクリプトをWebページに挿入し、そのページを訪れたユーザーのブラウザ上でそのスクリプトを実行する攻撃方法です。これにより、ユーザーのクッキー情報を盗み出すことで、そのユーザーと同等の権限を得ることができます。
情報漏洩
情報漏洩は、個人情報やクレジットカード情報など、ユーザーの機密情報が攻撃者の手に渡るリスクを伴います。特にEコマースサイトなど、大量の顧客情報を保持するサイトは、その情報が漏洩すると重大な経済的、法的リスクに直面します。
WordPressの脆弱性を狙った攻撃の被害事例
WordPressの脆弱性によって被害が発生してしまった事例はいくつもあります。
WordPress及びプラグインの脆弱性は2021年には989件報告されており、同一原因で表面化したものも含め多数のプラグインに脆弱性の存在が明らかになっています。2022年の1年間でも47件公表されており、決して少ないとは言えない状況です。
際に脆弱性への攻撃を受けたことで被害が発生してしまった実例をいくつかご紹介します。
パナマ文書(Panama Papers)
2018年に発生した「パナマ文書(Panama Papers)」という事件は、WordPressの脆弱性を狙った大規模なハッキングの事例です。この事件では、法律事務所が運営するWordPressサイトの脆弱性が攻撃され、大量の機密文書が漏洩しました。
その量は2.6テラバイト、文書1150万件に上ります。この漏洩情報により、多くの政治家やビジネスマンがタックスヘイブン(租税回避地)を利用していることが明らかになりました。そして、アイスランド首相は失脚し、ロシアのプーチン大統領やイギリスのデービッド・キャメロン首相、その他の著名な公人も物議を醸している状況です。
このWordPressでは「Revolution Slider」と呼ばれるプラグインをサイトで実行していました。このプラグインはビジュアル機能のほとんどを実行し、非常に人気のある強力な WordPress デザインツールです。しかし、使用されていたバージョンは2.1.7であり、脆弱性が発見されたバージョンでしたが、最新バージョンにアップデートされていなかったことが原因です。
SoakSoak攻撃
2016年には、大手セキュリティ企業のSucuriが、25,000以上のWordPressサイトがハッキングされ、それらのサイトから訪問者をフィッシングサイトへ誘導する攻撃が行われていることを発表しました。この攻撃は「SoakSoak」と名付けられ、RevSliderという人気のスライドショーアドオンの脆弱性を悪用して行われました。
これらの事例は、WordPressの脆弱性がどのように悪用され、その結果どのような被害が生じるかを示しています。WordPressを利用する全てのユーザーが、その脆弱性とそれによるリスクを理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが求められます。
WordPressに脆弱性があるか確認する方法
WordPressの脆弱性を確認するには以下の手段があります。
- WordPress、テーマ、プラグインのバージョンを常に最新に保つ
- 脆弱性スキャンを実行するプラグインを使用する
- 定期的にセキュリティチェックを行う
これらの手段は脆弱性の存在を認識し、可能な限り早く対策を講じるために不可欠です。
WordPressのセキュリティ対策
ソフトウェアの更新
WordPress自体、そしてそれに関連するプラグインやテーマのアップデートは、最も基本的なセキュリティ対策です。これらの更新により、新たに見つかった脆弱性が修正され、その脆弱性を狙った攻撃からサイトを守ることができます。
強固なパスワードの使用
強固なパスワードは、不正アクセスを防ぐための重要な手段です。特に管理者パスワードは、攻撃者にとって魅力的な標的となるため、十分に長く、複雑で、推測しにくいものにすることが推奨されます。
二段階認証の導入
二段階認証(2FA)は、ユーザー名とパスワードだけでなく、さらに一つの要素(例えば、SMSで送られるコードやアプリで生成されるコードなど)を要求する認証方法です。これにより、パスワードが漏洩した場合でも、その情報だけではログインできないため、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。
ファイアウォールの利用
ファイアウォールは、不正なアクセスを防ぐための壁の役割を果たします。特にWebアプリケーションファイアウォール(WAF)は、Webサイトへの攻撃を特定し、それらをブロックする能力を持っています。
バックアップの定期実施
万が一、サイトが攻撃に遭った場合でも、定期的にバックアップを取ることで、その被害を最小限に抑えることができます。バックアップは、データの損失を防ぎ、サイトの復旧を速やかに行うための重要な手段です。
これらの対策は、基本的なセキュリティ対策であり、全てのWordPressユーザーに推奨されます。しかし、それらを全て行ったからと言って、完全に安全とは言えません。新たな脆弱性や攻撃手法が日々生まれるため、常に最新のセキュリティ情報をチェックし、適切な対策を講じることが重要です。
プラグインとテーマの安全性チェック
WordPressのプラグインとテーマは、Webサイトの機能性を向上させるだけでなく、脆弱性をもたらす可能性もあります。利用するプラグインやテーマを選択する際には、開発者の信頼性やアップデートの頻度、評価等をチェックし、安全性が確認できるものを選ぶことが重要です。
ファイルのパーミッション設定
WordPressでは、各ファイルとディレクトリにアクセス権限(パーミッション)を設定することが可能です。これにより、必要以上にアクセス権限を付与することを防ぎ、不正な変更や情報漏洩を防ぐことができます。ファイルやディレクトリのパーミッション設定は適切に管理することが推奨されます。
SSLの導入
SSL(Secure Sockets Layer)は、ユーザーのブラウザとサーバーとの間の通信を暗号化する技術です。これにより、通信内容の盗み見や改ざんを防ぐことができます。特に、個人情報やクレジットカード情報を取り扱うEコマースサイトなどでは、SSLの導入は必須となります。
WordPress管理画面のセキュリティ強化
WordPress管理画面への不正アクセスを防ぐためには、いくつかの対策があります。例えば、管理画面のURLをデフォルトのものから変更する、IPアドレスによるアクセス制限を設ける、などの方法があります。これらにより、不正アクセスのリスクを低減することができます。
セキュリティプラグインの利用
WordPressには、サイトのセキュリティを強化するためのプラグインが多数存在します。これらのプラグインを利用することで、さまざまな脆弱性からサイトを守ることができます。しかし、プラグイン自体が新たな脆弱性を生む可能性もあるため、使用するプラグインの選択には注意が必要です。
関連リンク:WordPressに必要なセキュリティ対策は?被害事例や強化方法を解説
https://www.prime-strategy.co.jp/column/archives/column_6077
Webサイトのセキュリティ対策はプライム・ストラテジー
Webサイトのセキュリティは、ビジネスの成功と直接関連しています。プライム・ストラテジーでは、WordPressのセキュリティに特化したサービスを提供しています。私たちの専門家チームは、最新のセキュリティ脆弱性と対策に常に精通しており、あなたのWebサイトを保護します。
まとめ
以上が、WordPressの脆弱性とその対策についての説明です。WordPressはその使いやすさと多機能さから世界中で広く利用されていますが、それらの特性がサイバー攻撃の対象となることもあります。そのため、WordPressを利用する全てのユーザーに対し、常に最新のセキュリティ対策を講じることが求められます。
セキュリティは、一度設定してしまえばそれで完了するものではありません。新たな脆弱性や攻撃手法が日々生まれるため、常に警戒を怠らず、最新のセキュリティ情報を得て、適切な対策を講じることが重要です。これにより、WordPressを安全に、そして最大限に活用することが可能となります。