コンテンツ配信に適したクラウドサービスは?

林 雅之

記事は、ECサイトや動画などのコンテンツ配信サイトがクラウドサービスを採用する際の注意点とコスト削減のアプローチについて説明しています。アクセス集中やデータ転送量増加による負荷に対応するためには、オートスケールやロードバランシングなどの対策が必要と述べ、データ転送料金が全体の2-3割を占める企業もあると指摘しています。また、月額上限付従量課金を採用するクラウドサービスを利用して予算を管理しやすくする方法や、データ転送量の無料化でコスト削減を実現した事例も紹介しています。

ECサイトや動画やe-Learning、ゲームなどのコンテンツ配信にあたって、クラウドサービスを採用するケースが増えています。

これらのコンテンツサイトは、テレビなどで紹介されたりするケースや、ソーシャルメディアで拡散されたり、時間帯などにより、急激にアクセスが集中する場合があり、表示速度の低下やサーバーがダウンする恐れがあります。

アクセスが集中してWebサイトに負荷がかかる場合、仮想サーバーのリソースを自動的に拡張するオートスケールや、ゾーンを分けたサーバーの負荷分散などの対応が必要となります。

クラウド事業者の選定にあたっては、サービスを迅速に始められるだけでなく、急激にアクセスが増えた際にサーバーやストレージなどのシステム環境の拡張に対応できることが必要です。

コンテンツ配信サイトの場合は、アクセス数が増えたり、利用者の増加により使用量が増えたりすると、サイトから利用者へのデータ転送量が大幅に増加します。多くのクラウドサービスは、データ転送に課金が発生するため、データ転送量の増加とともに利用料金も増えてしまい、逆にコストが増加するケースがあります。

コンテンツ配信サイトは、アクセス数の増加によるビジネスの拡大は歓迎するものの、運用コストが読めないことがサイトを維持するにあたってのリスクとなる場合があります。クラウドサービスの利用開始時にはデータ転送の料金負担に気づきにくい場合がありますが、システムが動き出し利用が開始されると、想定外の費用が発生するといった問題も出てきます。

クラウドサービスを利用する場合、コンピュートリソースの使用料が安く設定されていることもあり、実際の支払いのうち、データ転送料が全体の2割から3割を占めるユーザー企業もあるといいます。

クラウドサービスによっては、サービス利用料金に月額上限付従量課金を採用しているサービスもあります。利用料が一定の金額になると定額料金が採用されるため、クラウドを利用するにあたって想定外の料金がかかることがなく、予算化がしやすいといったメリットがあります。

特に、近年は動画の配信プラットフォームの基盤としてクラウドサービスを採用するケースが増えています。同時アクセスが1万を超えるライブ動画配信サービスを手がける事業者では、データ転送量を課金するクラウドサービス事業者から、データ転送量をアップロードとダウンロードが無料の事業者へシフトしたことで、想定以上のコスト削減を実現しています。

映像ブランディングを手がける事業者でも業務上高解像度の画像や動画を多用しているため、転送料無料のクラウドサービスを選択し、コスト削減につなげています。

安定したサイト運営をするには、アクセスの集中に動じない高度なスケーラビリティを提供するオートスケールやロードバランシング、コンテンツの最適配信を行うCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)などの組み合わせがポイントです。

転送量無料や安定したコンテンツサイト構築に加えて、プライム・ストラテジー株式会社が開発・構成する超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」を活用することで、コストを抑えて、安定したサイトを構築・運用ができるでしょう。

NTTコミュニケーションズでは、IT&ビジネス向け情報サイトの「Cloud Magazine」を運営しており、KUSANAGI for Cloudn導入事例も掲載されています。
http://www.cloudn-service.com/magazine/category/case/015.html

■執筆者プロフィール
林 雅之氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 クラウド・エバンジェリスト
クラウドサービスのマーケティングや広報宣伝を担当
国際大学GLOCOM客員研究員 社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー
最近の著書 『イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本(SBクリエイティブ)』

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