2017年5月8日から5月11日まで「OpenStack Summit 2017 in Boston」が開催されました。開催にあわせて、オープンソースのクラウド基盤のOpenStack利用ユーザ調査のレポート「OpenStack User Survey 2017.4 」を公開されたので、そのレポートの一部をご紹介しましょう。
本調査の回答者は、クラウドアーキテクトが40%、運用担当が45%、開発者の22%が主な構成となっています。
OpenStackの利用ユーザの2017年の地域別比較では、北米が43%(前年は46%)と最も多く、続いてヨーロッパが29%(前年24%)そして、アジアが21%(前年23% )となっています。特に、ヨーロッパの伸びが顕著となっています。ちなみに、日本は4%です。
OpenStackを採用する理由は、2016年と比較して増加傾向にあるのが、ベンダロックインの回避が3.5(前年2.5)と増えており、イノベーションを加速するも3.3(前年2.7)と増えています。その一方で、コスト削減が3.2から2.0に大きく減少しています。AWSやマイクロソフトのAzureなどがクラウドサービスの市場をリードしていますが、その一方で、ベンダロックインやクラウドロックインを避け、オープンなクラウド基盤を採用するユーザも多いといえるでしょう。
Why do organizations choose OpenStack?
出所:OpenStack User Survey 2017.4
関心をもっているOpenStack関連の最新のテクノロジーでは、コンテナが75%と最も多く、SDN/NFVが49%、そしてベアメタルが45%、ハイブリッドクラウドが41%と続いています。今後は、さらに、コンテナの注目度が高まっていくと予想されます。
Which emerging technologies interest OpenStack users?
出所:OpenStack User Survey 2017.4
OpenStackで動作しているワークロードとフレームワークは、インフラサービスが60%と最も多く、ソフトウェア開発が55%、データベースが35%と続いています。インフラサービスはコモディティ化が進んでおり、ソフトウェア開発やデータベースなど、よりミドルレイヤの利用率が高まっていくと考えています。
出所:OpenStack User Survey 2017.4
採用しているプロジェクト(コンポーネント)では、Computeの「Nova」とIdentity Serviceの「Keystone」が98%、image Serviceの「Glance」が97%、Networkingの「Neutron」が95%、そして、Dashboardの「Horizon」とBlock Storageの「Cinder」が89%と続いています。OpenStackをベースにクラウド環境を構築する際には、この辺のコンポーネントは抑えておく必要があるでしょう。
Which projects are used by OpenStack deployments?
出所:OpenStack User Survey 2017.4
将来的に採用したいプロジェクトでは、Designate(DNS Service)が38%、Magnum(Containers Service)が37%、Trove(Database Service)が33%と続いています。コンテナのMagnumは、さらに、機能の強化が見込まれるところで、要注目です。
Which projects are users most interested in adopting in the future?
出所:OpenStack User Survey 2017.4
OpenStack上のアプリケーションを管理するのに、作用しているコンテナおよびPaaSツールでは、Kubernetesが47%ともっとも多く、Openshiftが17%、Docker Swarmが14%、Cloud Foundryが12%と続いています。これまで、オープンソースのPaaS基盤ソフトウェアのOpenshiftやCloud Foundryが上位を占めていたのですが、Dockerコンテナ管理フレームワークのKubernetesがいっきにリードしています。今後はOpenStackのサーバー側を意識せずに、Kubernetesで処理をするという流れは進んでいくでしょう。
Which container and PaaS tools are used to manage applications on this OpenStack deployment?
出所:OpenStack User Survey 2017.4
日本でOpenStackを基盤としてクラウドサービスを提供している事業者は、NTTコミュニケーションズのEnterprise Cloudや富士通のK5、NECのCloud IaaS、そして、GMOインターネットのConoHaなどがあります。CotoHaはリリースによると、超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」が利用できます。