OpenStackとDockerは実装する段階へ、Dockerコンテナ管理ツールはKubernetesが主流に

吉田 行男

IDC Japanの調査によると、OpenStackとDockerの導入が増加しており、実装段階に入った企業数も上昇しています。しかし、両技術の専門知識を持つエンジニアが不足しており、特にOpenStackでは半年ごとの大型更新への対応や信頼性に不安が見られます。また、Dockerの導入企業の約3分の1がKubernetesを用いた管理を行っている一方、情報不足による運用の困難さが課題となっています。

調査会社のIDC Japanは2017年5月18日、「2017年 国内OpenStack/Dockerの導入状況に関するユーザー調査結果」を発表しました。

本調査では、

OpenStackの導入状況については、

「本番環境で使用している」10.6%(前年比3.6ポイント上昇)
「開発/テスト/検証段階」14.4%(前年比6.1ポイント上昇)

などの結果から、OpenStackの導入については、計画/検討段階から具体的な実装段階に入った企業が増加しています。

OpenStackは、クラウドサービス事業者や、自社のプライベートクラウドの基盤での採用は増加傾向にあります。

OpenStackを使用していく上での課題については、

「OpenStackに精通しているエンジニアが少ない」が25.0%と最も多く、「半年ごとのメジャーリリースに追従できない」と「OpenStackの信頼性に不安が残る」が17.2%と続いています。

OpenStackは各コンポーネント別の仕様を理解する必要があり、対応できるエンジニアを揃えていくには難しいところもあり、人材育成が急務となっています。また、OpenStackはメジャーリリースのアップデートが半年ごとに行われており、特に、クラウドサービス事業者は、バージョンロックインの懸念も指摘されています。

図1. OpenStackの導入状況に関するユーザー調査結果
出所:IDC Japan 2017年 国内OpenStack/Dockerの導入状況に関するユーザー調査結果 2017.5.18

Docker(コンテナプラットフォームソフトウェア)の導入状況については、

「本番環境で使用している」6.0%(前年比2.7ポイント上昇)
「開発/テスト/検証段階」13.1%(前年比7.9ポイント上昇)

となっており、Dockerについても計画/検討段階から具体的な実装段階に入っている企業が増加しています。

Dockerを使用している企業の34.8%がDockerコンテナの管理にKubernetesを使用しており、Kubernetesが主流になりつつあります。

Dockerを使用していく上での課題は、
「Dockerに精通しているエンジニアが少ない」が24.7%と最も回答が多く、Dockerの需要増加に対してエンジニアの供給が追いついていない状況となっています。そして、「セットアップや運用管理のためのドキュメントや公開情報が少ない」が18.0%、「Dockerコンテナ環境の運用管理が難しい」が16.9%で続いています。

図2. Dockerの導入状況に関するユーザー調査結果
出所:IDC Japan 2017年 国内OpenStack/Dockerの導入状況に関するユーザー調査結果 2017.5.18

IDC が発表した「x86 Software Containers Forecast, 2016–2020」によると、世界で稼動するコンテナのインスタンス数は、2015年の約200万から2020年には500倍となる約10億になるという予測もあります。

今後、クラウドの仮想サーバーのインスタンスから、コンテナのインスタンスで、さまざまなアプリケーション開発やサービス提供が進んでいくでしょう。

プライム・ストラテジー株式会社が開発・構成する超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」は、Dockerでも動作できるようで、その内容が、クリエーションライン社の「KUSANAGI Runs on Docker 」のページに掲載されています。

KUSANAGI Runs on Docker

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