今回は、オープンソースのDBであるMySQLやMariaDBなどを活用したソリューション、サポートやプロフェッショナルサービスを提供しているPercona社が実施したオープンソースDBに関する調査結果(*2)をご紹介したいと思います。
これは、2019年9月にオランダのアムステルダムで開催された「PERCONA LIVE OPEN SOURCE DATABASE CONFERENCE EUROPE 2019」で発表されたレポートで、欧米の企業を中心に85ヶ国、836社の企業を対象として実施されたものです。
MySQL Community Editionの活用が最多
活用しているDBで最も多かったのは、「MySQL Community Edition(58.7%)」で、次が「PostgreSQL(46.1%)」でした。昨年からライセンス変更等でいろいろと話題になっている「MongoDB」に関しては、「MongoDB Community」が34.4%、有償である「MongoDB Enterprise」が3.6%、「Amazon DocumentDB」が1.4%なっていました。
この結果だけを見るとMongoDB社が、クラウドベンダーに対抗してライセンスを変更しましたが、有償化に対する対応策を検討する必要があるかもしれません。
DBは複数のタイプを活用している企業が多い
興味深いのは、ほとんどの企業で複数の異なったタイプのDBを活用しており、54%の企業で複数のいわゆる「NoSQL」を活用していることがわかったことです。
また、44%の企業が、オープンソースDBで著名なPostgreSQLとMySQLの両方を活用しているようです。
MySQLと一緒に活用しているDBとして、Community版ではPostgreSQLが最も多いのですが、Enterprise版ではSQL Server、Oracleの順になっており、有償版のユーザは、商用DBと一緒に活用しているケースが多いようです。また、ElasticやRedis、MongoDBと共に活用しているようで、ビジネス展開上では、これらのOSSを全体で対応できるとビジネスが広がるかもしれません。これは、PostgreSQLでも同様の結果になっています。
オープンソースDBのサポートの懸念
オープンソースDB導入の阻害要因としては、「サポートの欠如」と回答しています。
サポートサービスに関しては、全体の60%以上の企業がサポート契約をしていますが、小規模企業では自らでサポートするケースが7割ぐらいと多くいるようです。とはいえ、Community版を活用するケースがまだまだ多く、Enterprise版を活用しているケースがまだ16%と少ないのが現状です。
また、商用DBを活用している理由の一番は24時間サポートということで、DBという特性もあると思いますが、ユーザへの安心感を持ってもらえるようにベンダーは努力する必要があるかもしれません。このあたりは、日本の多くのユーザも同じ感覚を持っているような気がします。
オープンソースDBの活用理由がマネジメント層かどうかで大きく異なる
オープンソースを活用する理由としては、まだまだ「コスト削減」が圧倒的に多く、続いて「ロックインの回避」となっていますが、興味深いのは、マネジメント層と非マネジメント層で違いがあることで、マネージメント層では、「コスト削減」よりも「ロックインの回避」の方が多くなっています。技術に直接関係しない層の方が、ベンダーからの影響を回避したいと考えているようで、このあたりも興味深いところです。
また、企業の規模でみると会社規模の小さい企業の方が「コスト削減」に関する意識が高いという結果も出ています。
このように海外が中心になっていますが、さまざまな調査データを分析することで、OSSビジネスを推進している企業の方々も自社ビジネスへの取り組みを検討してはどうでしょうか?
(*1)本文中記載の会社名、商品名、ロゴは各社の商標、または登録商標です。
(*2)https://www.percona.com/open-source-data-management-software-survey