今回は、OSSと特許の関係について紹介したいと思います。
Open Invention Network(OIN)
2005年にLinux System(Linuxカーネルおよび関連するソフトウェア全体)使用にともなう特許訴訟を防衛する目的で、企業コンソーシアムである「Open Invention Network(OIN)」が設立されました。
運営は、 Google, IBM,NEC, Philips, Red Hat, Sony, SUSE, Toyotaなどによって行われており、現在、参加企業は3200社を超えています。
参加企業は、OINが買い取ったLinux関連の特許を無償で提供され、Linuxの特許問題を解決することができます。
メルカリの加盟
今回、このOINに日本企業として、「メルカリ」「メルペイ」などを運営しているメルカリグループが加盟し、保有している特許をオープンソース化し、その他の加盟企業とのクロスライセンスの対象にすることを3月26日に発表しました。
プレスリリースによると、「メルカリグループのシステムには、多くのOSSが活用されており、その中で培った技術をオープンソース化することで、OSSから受けた多大な貢献に対してあるべき姿だと考えている」と記されています。
このように単に活用するだけではなく、活用する中で培った技術を公開することが、とても良い貢献になります。
また、日本の企業では、太陽誘電 や 楽天 なども最近加盟しています。
海外の加盟の動き
一方、海外でもこのような動きがありますので、ご紹介したいと思います。
Microsoftの加盟
2年前の2018年にMicrosoftが加盟し、同社の約6万に及びLinux関連の特許を公開しました。
どちらかといえば、OSSコミュニティと特許でいろいろ問題があったのは、Microsoftだったので、この動きは、MicrosoftのOSSに関連する一連の動きの中でも、大きなインパクトのある出来事でした。
華為技術(ファーウェイ)の加盟
また、4月に入ってから、中国の華為技術(ファーウェイ)が、加盟したと発表がありました。
ファーウェイは、米国司法省から告発されていることもあり、ネガティブなイメージがありますが、実はLinuxカーネルだけではなく、重要なOSSのコントリビュータとして長年貢献しています。
OINの積極的加入が求められる
このようにグローバルで活動している企業が、積極的にOINに加入することで、Linux関連の特許に関する係争が起きにくくなり、イノベーションを阻害する要因が減少していくことになるのではないでしょうか。
自社で培った技術を自社の中だけに留めていくだけでは、イノベーションの発展に寄与することがないばかりではなく、阻害する要因になりうる危険性を孕んでいると言えます。
これからの日本の企業は、どちらの道を選んでいくのか、大きな岐路に立たされることになるかもしれません。
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