今回は、米国マイクロソフト社とオープンソースについてさまざまな動きがありましたので、昨年の7月に続いてご紹介したいと思います。
「GW-BASIC」をオープンソースで公開
米国マイクロソフト社が5/21に、1983年にリリースしたBASICインタプリタ「GW-BASIC」をオープンソースとして、GitHubで公開したと発表しました。
同社は、2018年9月にもMS-DOSのバージョン1.25とバージョン2.0を公開しています。
「GW-BASIC」は、1981年に発売された「IBM PC Model 5150」に同梱されていた「Advanced BASIC」から派生したもので、MS-DOSをオープンソース化したことで、BASICもオープンソース化して欲しいという要望に応えたそうです。
ソースコードは、8088のアセンブリ言語で記述されており、今回の公開の目的は、歴史的な資料や教育目的として公開されたもので、実行可能なバイナリーを作成するためのスクリプトなどは含まれていませんし、プルリクエストも受け付けてもらえません。
マイクロソフトのオープンソースに対する姿勢の変化
マイクロソフト社といえば、2001年当時CEOだったSteve Ballmer氏(@Steven_Ballmer)が
Linuxは、がん細胞のようなものだ。
発言したことで有名ですが、そのBallmer氏も2016年には、オープンソースに対する姿勢が変化しているようです。
▶ 「Linuxはガン」発言のMSバルマー元CEO、オープンソース戦略を称賛(ZDNet Japan, 2016/03/14)
また、最近マイクロソフト社の最高法務責任者のBrad Smith氏(@BradSmi)が、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学および人工知能研究所で行った講演で、
オープンソースが爆発的に拡大した今世紀の初め、Microsoftの姿勢は歴史の流れに反していたし、私個人もそういう考えだった
と述べています。
今では、マイクロソフト社は2018年10月にはGitHubの買収を完了し、オープンソースに多大なる貢献をしていることは、周知の事実です。
Microsoft AzureにおけるVMコアの半数以上ですでにLinuxが使用されているとMicrosoftで中東およびアフリカ向けのOpen Source Leadを務めるAdir Ron氏がLinkedInに投稿しました。
▶ Microsoft Azureで最も使われているイメージはLinux(マイナビニュース_2020/05/15)
この投稿の中では、さらに、Azure Marketplace Imagesの60%以上がLinuxベースのイメージで占められており、マイクロソフトの顧客トップ100がMicrosoft AzureでLinuxワークロードをデプロイしていると述べています。
また、すべての主なLinuxディストリビューションにも対応しており、Linuxエコシステムを取り巻くさまざまな会社と連携しています。
WSL2の正式リリースを発表
「Microsoft Build 2020」では、Windows10でLinux互換機能を提供する「Windows Subsystem for Linux 2」(WSL2)の正式リリースを発表しました。
▶ The Windows Subsystem for Linux BUILD 2020 Summary (Microsoft, May 19th, 2020)
現行のWSLがLinuxカーネルシステムコールをWindowsカーネルシステムコールに変換するという実装で互換機能を提供するという仕組みなのに対し、
WSL2ではこれを刷新し、Windows 10内部に用意した軽量な仮想マシン内で本物のLinuxカーネルを実行することで、より高い性能と互換性を実現しています。
WSL 2は5月中にリリース予定のWindows 10の大型アップデート「Windows 10 May 2020 Update」に含まれる予定です。
(Insider Previewを利用することで、手動でアップデートすることも可能です。)
最後に先ほど紹介したSmith氏が講演の中での印象的な発言をご紹介したいと思います。
(*1)本文中記載の会社名、商品名、ロゴは各社の商標、または登録商標です。幸運なことに人生は長く、自分の体験から、変わる必要性を学ぶことができる