Webサイトのサーバーの効果的なセキュリティ対策・予防策6選

Webサイトのサーバーの効果的なセキュリティ対策・予防策6選

渡部直樹

近年、Webサイトのサーバーへの攻撃が増えています。2023年の第1四半期では、世界全体の週平均攻撃数が前年同期比7%増加するなど、サイバーセキュリティへの脅威は無視できません。特にアプリケーション、サーバー、ネットワークの3つは、攻撃対象となるリスクが高いため、これらのセキュリティ対策の見直しは不可欠です。また、ユーザー認証や物理的なセキュリティなども重視するべき対策の一つです。組織全体でセキュリティ意識を高め、定期的にセキュリティ監査を行いながら、最新のセキュリティ対策を維持・適用することが必要です。

Webサイトのサーバー攻撃が増加している

インターネットの利用が普及し、デジタル技術が進化している現代社会では、Webサイトのサーバーへの攻撃が増加しているという事実は無視できません。

オンラインの取引やリモートワークの増加に伴い、企業のデータやシステムを狙ったサイバー攻撃が増えています。これにより、企業は自身のサーバーセキュリティを強化し、脆弱性の管理とデータ保護に関する継続的な対策を追求する必要が出てきています。

2023年第1四半期、世界全体の週平均攻撃数は前年同期比で7%増加し、1組織当たり週平均で1,248件の攻撃に直面しています。

https://blog.checkpoint.com/research/global-cyberattacks-continue-to-rise/

サイバーセキュリティの専門家は常に新たな脅威を監視し、これらに対抗するための新たな戦略を開発しています。

Webサイトのセキュリティ対策で見直しが必要な項目

サイバーセキュリティは絶えず進化し続けるフィールドであり、そのため、企業は常に自身のセキュリティ対策を見直し、更新する必要があります。特に以下の4つのエリアは重要な見直し項目と言えます。

https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/sitecheck.html

アプリケーション

アプリケーションは、Webブラウザーからアクセスがあった際にコンテンツ(データ)を表示する役割を果たします。そのため、Webアプリケーションは常に攻撃の対象となっています。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃手法により、データが盗まれたり、システムが乗っ取られたりするリスクがあります。

これに対抗するためには、アプリケーションレベルでのセキュリティ強化が必要であり、定期的な脆弱性スキャンやセキュアなコーディングの実践が重要となります。

サーバー

サーバー自体も攻撃の対象となります。サーバー上で動作するOSやミドルウェアに脆弱性があると、攻撃者から標的とされる恐れがあり、ファイルの改ざん、サービスの停止、データの盗難などのリスクがあります。

これを防ぐためには、サーバーのハードウェアとソフトウェアの両方を保護するための対策が求められます。また、システムを最新の状態に保つことも重要です。

ネットワーク

ネットワークはWebブラウザーとサーバー間でデータをやり取りするための通信経路であり、ネットワークもサーバーと同様に攻撃対象となります。ファイアウォールや侵入検知(IPS)/侵入防止システム(IDS)の導入により、外部からの不正なアクセスを防ぐことが可能です。

その他

アプリケーション、サーバー、ネットワーク以外にも、ユーザーの認証やアクセス制御、物理的なセキュリティなど、その他の多くの要素がセキュリティに影響します。例えば、強固なパスワードポリシーや二段階認証、従業員のセキュリティ教育などが必要です。

サーバーのセキュリティを強化する重要性

サーバーは企業のデータとアプリケーションを保持する中心的な場所であり、その安全性は企業の生存に直接関わっています。データの盗難や改ざん、システムの停止は、企業にとって大きな財務的損失をもたらし、その信頼性を大きく損なう可能性があります。したがって、サーバーのセキュリティを強化することは、ビジネスの継続性と成長を保証する上で不可欠です。

Webサイトのサーバーの仕組み

Webサイトは通常、以下の3つの主要なコンポーネントで構成されます。

Webサーバー

Webサーバーは、ユーザーのリクエストを受け取り、そのリクエストに対応するWebページを提供する役割を果たします。WebサーバーはHTML、CSS、JavaScriptなどの静的なファイルをホストし、ユーザーがWebサイトを閲覧するための中心的な役割を果たします。

アプリケーションサーバー

アプリケーションサーバーは、動的なコンテンツや機能を提供します。これには、ユーザーがフォームに入力したデータを処理したり、データベースと通信したり、ユーザーに対してカスタマイズされた結果を提供したりする機能が含まれます。

データベースサーバー

データベースサーバーは、Webサイトのデータを保持し管理する役割を果たします。Webサイト上のページや、ユーザーのプロフィール情報、購入履歴、商品データなど、サイトが必要とするすべての情報がここに保存されます。

よくあるWebサイトのサーバー攻撃とその対策

DDoS攻撃

DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃は、サーバーに大量のトラフィックを送りつけてサービスを利用不能にする攻撃です。対策としては、トラフィックの監視と異常検知、DDoS保護サービスの利用などが考えられます。

ブルートフォース攻撃

ブルートフォース攻撃は、攻撃者が総当り攻撃を行ってユーザーアカウントに不正にアクセスする方法です。強固なパスワードポリシーの導入や、繰り返しのログイン試行に対する制限、二段階認証の導入などが有効な対策です。

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、攻撃者が不正なSQLクエリを注入してデータベースから情報を盗み出す攻撃手法です。入力の検証とエスケープ処理、SQLパラメータ化などが対策として有効です。

クロスサイトスクリプティング

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者がWebサイトに悪意のあるスクリプトを注入し、それを閲覧する他のユーザーのブラウザを操る攻撃手法です。入力の検証とエスケープ処理、適切なコンテンツセキュリティポリシーの導入などが対策として有効です。

フィッシング攻撃

フィッシング攻撃は、攻撃者が偽のメールやWebサイトを使ってユーザーから情報を盗み出す手法です。これにはユーザー自身の意識が最も重要であり、フィッシング詐欺を見分けるための教育が必要です。

パスワードクラック攻撃

パスワードクラック攻撃では、攻撃者は様々な手法を使用してユーザーアカウントのパスワードを推測または解読します。強固なパスワードの使用、二段階認証の導入、パスワードの定期的な変更などが有効な対策となります。

ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃とは、未知の脆弱性が攻撃者によって悪用される形態の攻撃です。これらの脆弱性は公に知られる前に攻撃者によって悪用されるため、その名前が「ゼロデイ」(ゼロ日)となっています。対策としては、ソフトウェアを常に最新の状態に保つこと、セキュリティアップデートを定期的に適用すること、未知の脆弱性を検出するためのセキュリティツールを使用することなどが考えられます。

効果的なWebサーバーのセキュリティ対策

以下に、Webサーバーのセキュリティを強化するための主要な対策をいくつか示します。

最新のセキュリティパッチとアップデートを常に適用します。

OSやサーバソフトウェア、ミドルウェアのバージョンアップは、セキュリティ対策の基本です。また、ソフトウェアの開発者やベンダーからリリースされるセキュリティパッチやアップデートを定期的に適用し、脆弱性を解消してください。

なお、ソフトウェアをバージョンアップした場合、今まで動作していたウェブアプリケーションが正常に動作しなくなる場合があるため、事前の検証の必要があります。

強固なパスワードポリシーと二段階認証を実装します。

強固なパスワードポリシーは、ブルートフォース攻撃やパスワードクラック攻撃を防ぐ上で非常に効果的です。ユーザーに対して長さ、複雑さ、ユニークさを求めるパスワードポリシーを導入し、パスワードの定期的な変更を求めることが重要です。また、二段階認証は、パスワードが漏洩した場合でもアカウントの安全性を保つための有効な手段となります。

特に管理者権限を持ったアカウントやリモート管理ソフトなどのアプリケーションの場合、悪用される可能性が高いため、安易なパスワードが設定されていないか、確認して下さい。

不要なサービスとポートを無効化

Webサーバーに必要なサービスとポートのみを稼働させ、それ以外は無効化することで、攻撃対象となるポイントを減らすことができます。これにより、サーバーが攻撃者によって悪用されるリスクを最小限に抑えることができます。

IDSやIPSおよびWAFの導入

IDS(Intrusion Detection System)やIPS(Intrusion Prevention System)およびWAF(Web Application Firewall)は、ウェブサイトと利用者の間の通信を検査し、不正な通信を自動的に検知または遮断するソフトウェア、もしくはハードウェアです。

Webサイトに脆弱性が発見された場合、Webアプリケーションを速やかに修正できないことがあります。修正されるまでの間、攻撃による影響を低減する対策としてIDSやIPSおよびWAFを導入してWebアプリケーションを保護することは有効な手段の一つです。

レギュラーなバックアップとデータ復元プロセスを確立

サーバーが攻撃を受けた場合、バックアップとデータ復元プロセスが適切に行われていれば、ダウンタイムを最小限に抑え、データの損失を防ぐことができます。このため、定期的にバックアップを取り、データ復元プロセスをテストすることが重要です。

これらの対策は、一部の可能性のある脅威に対する対策であり、すべての脅威をカバーするものではありません。しかし、これらの基本的な対策を実行することで、Webサーバーのセキュリティを大幅に向上させることができます。

SSL/TLSを用いたデータの暗号化

SSL/TLSは、サーバーとクライアント間のデータの安全な転送を可能にします。特に、個人情報やクレジットカード情報などの機密性の高いデータがやり取りされる場合、これらの技術を用いることで、データが第三者に傍受されるリスクを最小限に抑えることができます。

Webサーバのログを保管し、定期的に確認

Webサーバ上では各種ログファイル(「システムログ」「アプリケーションログ」「アクセスログ」「データベース操作ログ」など)があります。これらのログファイルを確認することにより、事故や故障、不審な動き(不正アクセス)があったことに気づくきっかけになります。また、原因を追究するための重要な情報源ともなります。必要に応じて適切にログを保管し、定期的に確認をする必要があります。

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サーバーのセキュリティリスク侵害の予防策

セキュリティの意識を高める

技術的な対策だけでなく、人的要素も重要な部分を占めます。スタッフのセキュリティに対する意識を高めるために、定期的な教育やトレーニングを行うことが必要です。

セキュリティポリシーの策定と遵守

組織全体でセキュリティポリシーを策定し、その遵守を徹底することも重要です。これには、情報管理、ネットワークアクセス、物理的なセキュリティなど、組織全体のセキュリティを考慮に入れた規則やガイドラインが含まれます。

定期的なセキュリティ監査

セキュリティ対策の効果を確認し、必要な改善点を見つけ出すために、定期的にセキュリティ監査を実施します。専門的な知識を持つ内部スタッフ、または外部の専門家による監査が有効です。(PCI DSSでは四半期に一度、診断を実施することが求められています。)

Webサイトのセキュリティ対策はプライム・ストラテジー

Webサイトのセキュリティは、企業にとってプライムな戦略であり、日々新たな脅威が生まれるなかで、セキュリティ対策は絶えず見直し、更新し続ける必要があります。脆弱性を突く攻撃、新たな攻撃手法の開発、それらを防ぐための新技術との継続的な闘いが、Webサイトのセキュリティ対策の本質であり、これを達成するための主要な要素は以下の3つと言えるでしょう。

  • 最新の知識と技術の追求
  • 定期的なセキュリティ監査とアップデート
  • 全スタッフのセキュリティ意識の向上

これらを総合的に実行することで、企業は自社のWebサイトを安全に保つことが可能となります。

まとめ

Webサイトのサーバーセキュリティは、組織のデータを保護し、ユーザーの信頼を維持するための重要な要素です。攻撃の方法は日々進化しており、セキュリティ対策もそれに対応してアップデートする必要があります。

この記事では、Webサイトのサーバー攻撃が増加している現状、Webサイトのサーバーのセキュリティ対策で見直しが必要な項目とその重要性、Webサイトのサーバーの仕組み、Webサイトで起きやすいセキュリティリスク、効果的なWebサーバーのセキュリティ対策、そしてサーバーのセキュリティリスク侵害の予防策について説明しました。

適切なファイアウォールの設置、セキュリティパッチの適用、ユーザー認証の強化、ログの監視、不要なサービスの停止、SSL/TLSを用いたデータの暗号化など、具体的な対策を組み合わせることで、サーバーセキュリティを強化することができます。

また、組織全体でセキュリティの意識を高め、セキュリティポリシーを策定・遵守し、定期的にセキュリティ監査を行うなど、予防策を施すことで、リスクの未然防止が可能となります。

Webサイトのセキュリティ対策はビジネス戦略の一部であり、これに取り組むことで信頼性とブランド価値を高めることが可能です。安全なウェブ環境を提供することは、組織の成長と成功に対する投資とも言えます。

以上のような対策を通じて、Webサイトのサーバーセキュリティは常に更新され、改善され続けるべきです。ユーザーの信頼を維持し、自組織を守るために、最新のセキュリティ対策を維持し、それらを適用することが重要です。最後に、これら全ては技術だけではなく、組織全体の意識改革としての取り組みが必要です。

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