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WordPress 6.7のリリースに備え押さえておきたい変更点

福田拓朗

WordPress 6.7は2024年3回リリースされるメジャーリリースの最後の1つで、11月12日リリース予定です。

この記事では、WordPress 6.7のリリースに備え押さえておきたい変更点や改善点を公式発表を踏まえて、詳しく説明していきます。

変更点の総まとめ

Twenty Twenty-Fiveのテーマのリリース

WordPress 6.7では6.6までのバージョンと違い、新しいデフォルトテーマが導入されます。名前はTwenty Twenty-Fiveです。
すでにほかのテーマをお使い場合は変更されません。ですが、WordPress 6.7以降を新規に導入した場合はこちらのテーマが初期設定として利用されます。
日本語版のニュースによると、以下のような考えを持って設計されたと発表しています:

WordPress 6.7 でリリースされる新しいデフォルトテーマ Twenty Twenty-F​​ive は究極の柔軟性と適応性を体現しており、豊富なパターンとスタイルの選択肢によって WordPress がストーリーを伝える力を与えてくれることを示しています。
自然の美しさや伝統文化からインスピレーションを得たこのテーマは、無常、時の流れ、そして進化の連続という概念を想起させ、人生の旅路を映し出します」。

ズームアウト表示を利用してサイト構築を高速化する

これはパフォーマンスの改善というより、サイトの構築プロセスの改善とはなります。ツールバーからパターンを作成・編集できるために直感的に編集できるようになります。

メディア関連の改善

今まではiPhoneなどで利用されている高効率画像形式”HEIC“をアップロードした場合は自動で変換されませんでした。そのため、一部のブラウザにおいて正常に表示されないことがありました。ですが、WordPress 6.7からは、サーバ側のImageMagickがこの形式の変換に対応している場合は、こちらの形式の画像がアップロードされた場合にサーバ側で自動的にWebページでよく利用されている画像形式の”JPEG“に変換し、"HEIC"と合わせて保持するようになります。これにより、HEICを表示できないブラウザでの表示互換性の向上が見込まれます。ただし、注意していただきたい点が一つあります。KUSANAGIではepelリポジトリから提供されているImageMagickを利用していますが、こちらは執筆時点(2024年10月3日)においてはHEIC形式の変換に対応していません。また、KUSANAGIで独自にHEIC形式の変換に対応したImageMagickを提供する予定はありません。このため、KUSANAGIにおいてこの機能に対応するのはepelリポジトリ次第となることをご了承ください。
さらに 遅延読み込みにおける自動サイズ設定や拡張バックグラウンドイメージオプションの機能をサイト全体での設定のみならず画像ごとの設定にも適用できるようになりました。これにより、パフォーマンスなどを細かくコントロールできるようになる見込みです。

ブロックエディタの改善

いくつかのブロックにおいて機能の拡張を行いました。それにより、デザインの可能性が広がりました。例えばグループブロックについてかねてよりシャドーを表示できるようにリクエストを受けていました。その点に対して、対応を行いました。

ブロックエディターのオプション拡張API追加

APIの追加により、プラグインやテーマ開発者は任意の項目をプレビューのドロップダウンメニューに追加できるようになりました。これによって、プレビューのドロップダウン形式を踏襲しつつも、さまざまなフォーマットや環境を再現したプレビューの表示が可能となりました。PreviewDropdownMenuItemコンポーネントを利用することで項目を拡張できます。

データビューの改善

データビューはWordPress 6.5で導入されましたが、こちらについて一部改修を行いました。特にいうと、カスタマイズ性の向上と機能性の向上を目的とした新規機能の追加を行いました。

ブロックバインディングを直接変更できるように

カスタムフィールドをブロックバインディングのソースに紐づけることができるようになりました。これにより、コードエディタを介することなく、バインディングをブロックに直接作成することができるようになりました。デフォルトでは管理者および編集者がこれらの機能を利用できますが、block_editor_settings_allまたはmap_meta_capフィルタを編集することで権限設定の上書きも可能です。

クエリループブロックの改善

クエリループブロックにおいて、テンプレートから自動でクエリを参照するようになりました。これにより、手動でクエリを設定する必要性を解消しました。つまり、投稿が即時にエディタ及び実際のページに表示反映されることにより追加設定の必要なしに一貫性を向上したということです。

フォントサイズの設定がテーマ等から変更可能に

スタイルの編集画面の改善により、フォントサイズの作成・編集・削除・適用の操作が柔軟にできるようになりました。これにより、テーマ等からフォントサイズのプリセットを変更することが容易になりました。また、この機能の追加によって、フルイドタイポグラフィーという機能が有効にできるようになりました。これは、フォントのスケーリングを画面のサイズによって細かく調整ができる機能です。

メタボックスがiframe内の投稿編集画面から確認可能に

スプリットビューオプションを導入し、エディタキャンバスとメタボックスの両方に同時にアクセスできるようになりました。これによってフロントエンドと編集画面での一貫した編集体験を提供することができるようになります。

カスタムブロックテンプレートを登録することが簡単に

開発者は高度なフィルタを記述する必要が少なくなりました。これにより、簡単にカスタムブロックテンプレートを登録することができるようになります。

パフォーマンス改善について

総じて、今回はUI/UXの改善が多く、見えないところの改善は少ない印象です。ただし、ニュースにはないものの、Make Core WordPressブログに記載されている点として重要なのが、将来的なパフォーマンス改善のための準備盛り込まれているところです。
例えば、インタラクティブAPIのコードをシンプルかつ安定的に動作させるためのコード改善を行っています。これにより、将来的にインタラクティブブロックの遅延読み込みやコードの分割による性能改善が見込まれます。
さらに、今後、Slackのプライべートチャンネルを作成し、ホスティングサービスの提供会社がWordPressコア開発のパフォーマンスチームと共同で性能改善をしていくことを検討しているとのことです。すでに、ホスティングサービス提供会社とセキュリティチームとの共同プライベートチャンネルを設立しており、これに加えての連携しての改善プロジェクトとなっていく見込みです。

参考文献

https://wordpress.org/news/2024/10/wordpress-6-7-beta-1/
https://make.wordpress.org/core/2024/09/03/roadmap-to-6-7/

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