「最高を提供する」
エックスサーバーと
KUSANAGIの
高速化技術が生むシナジー
2021年5月のエックスサーバー株式会社(以下「エックスサーバー」)とプライム・ストラテジー株式会社(以下「プライム・ストラテジー」)の技術提携により、エックスサーバーの提供するホスティングサービスにKUSANAGIの高速化技術が導入された。 提携開始から3年、技術提携によってどのような変化があったのか、今後の期待などについてエックスサーバー取締役副社長 辰巳 準之介氏にお話を伺った。
インタビュアー:プライム・ストラテジー 海外マーケティング顧問 金谷武明
創業期から会社の成長を牽引
辰巳氏はエックスサーバーの副社長兼CTO(技術責任者)を務めるほか、グループ会社の代表や取締役も兼任している。 エックスサーバーの創業期に開発エンジニアとして入社し、新規サービスの開発や顧客サポートを担当。幅広い役割に取り組みながらマネジメント、経営とキャリアを積み、会社の成長を牽引してきた。
国内シェアNo.1のホスティングサービスを提供するエックスサーバー
エックスサーバーはWebホスティング(レンタルサーバー)を中心にドメイン、SSL、クラウドストレージ、VPSなど、インターネットインフラに関する事業、サービスを展開しており、2024年の1月に法人設立20周年を迎えた。
国内のWebサイトの約4分の1がエックスサーバーのホスティングで運用されているという、国内シェアNo.1(※)のサービスだ。
ブロガーなどの個人から中小から中堅を中心とする法人まで、幅広いユーザーがウェブサイト、ドメイン、メールなどを運用している。
※2023年10月時点、W3Techs 調べ。
「最高を提供する」という価値観
─ 先程、日本のWebサイトの約4分の1をエックスサーバーがホストしている、というレポートを読みました。本当に多くの方が利用していらっしゃるのですね。そんな多くの利用者の皆さんからの信頼を得るために、事業やサービスを展開される上でどのようなことを大事にされていらっしゃるのでしょうか。
辰巳:私が入社した当初から一貫して「最高を提供する」という価値観を大切にしています。
「最高」といっても絶対的な最高をいきなり提供できるものではありません。
我々がその時点でできる最高のものを提供しようという日々の取り組みを続けることで、知見も深まり、会社としても成長し、これまでできなかったこともできるようになっていきます。「利用者様にとってその時点で最高といえるものを提供し続けるためにベストを尽くす」
これがわたしたちの大切にしている価値観なんです。
─ プライム・ストラテジーのKUSANAGIの技術が導入されたエックスサーバーのサービスの特徴を教えてください。
エックスサーバーは社名にもなっている創業時からのサービスで、2023年の7月に20周年を迎えた。
高速で安定した環境で、大量のアクセスにも耐えられるという機能的な特徴と合わせて、サイトの運営に便利なツールやマニュアル、サポート体制が充実しているという特徴を持つ。
辰巳:月の利用料が1000円程度と、レンタルサーバーとしては決して安くはないサービスではあるのですが、「価格に対して提供している価値が高い」というコストパフォーマンスや安定性が評価され、最近では法人様のご利用が増えています。
見えない部分へのこだわりで他社サービスに先行
─ とても良くイメージが湧きました。では、他社サービスとの違いはどのようなところにあるのでしょうか。
辰巳: レンタルサーバーである以上、わたしたちも性能に関しては かなりこだわりを持っています。
2年前に採用した最新の商用サーバー機器(※)は、まだ他社サービスでは導入されていないものであり、弊社が一歩進んでいると自負しています。これもいつかは追いつかれるかもしれません。だからこそ、「良くし続ける」ことへのこだわりを持っています。
※高速インターフェース「NVMe(エヌブイエムイー)」と当時のAMDの最新CPU第3世代「AMD EPYCTM」を採用
─ なるほど、利用者から見えないところにもこだわるというのは素晴らしいですね。でもサイトを新しく作ろうと思ってユーザー目線でレンタルサーバーを比較すると、なかなか違いがわかりにくくなっているような気がします。
辰巳:そうですね。各社で競っている業界ではあるので、実際のところ「差」は少なくなってきているとは思います。とくに表面にみえるカタログ的なスペックではどうしても似たものになってしまいます。
わたしたちが目指している「ユーザー様にとっての最高」というのは目に見えない部分にも適用されると考えています。例えば、ユーザーサポートを外部に委託したり、電話サポートの範囲を絞ったりするサービスもありますが、弊社ではあらゆるチャネルを用意して、全て社内で対応しています。このような積み重ねがサービス全体の価値観、他社サービスとの違いに繋がってくると考えています。
─ 大切なポイントですよね。そういったこだわりが信頼に繋がっているんですね。
もっと良くなるかもしれない~プライム・ストラテジーとの技術提携の始まり
─ プライム・ストラテジーとの提携についてお聞かせください。
辰巳:レンタルサーバーにとって、表示の速さは重要な要素です。大きなシェアを持つWordPressの高速化は重要なテーマであり、KUSANAGIの高速化技術にはずっと注目していました。類似の高速環境もいくつかありましたが、やはりKUSANAGI が優れていると考えていました。
─ 具体的な課題などがあって、提携を検討されたのでしょうか。
辰巳:実は、弊社にはすべて自社で取り組むという文化があって提携はあまり考えてこなかったのです。
もちろん、最高を提供し続けるためには、日々課題はたくさんあります。
ですが、この提携については、個別具体的な課題の解決を目指したものではなく、
もしかしたら「もっとよくできる機会がきたのかもしれない」と考えたことがきっかけでした。
両社で協議を重ね、「技術提携」という形でプロジェクトがスタートすることになった。
単一環境を高速化するKUSANAGIの高速化技術とレンタルサーバーの高速化技術の融合
実際のプロジェクトは両社のエンジニアチームの間で進められた。
─ 技術的な苦労や難しさもあったのではないでしょうか。
辰巳:KUSANAGIは単一の環境で一人のユーザー様がWordPressをホストすることに特化して設計されています。一方、レンタルサーバーはひとつの環境を複数のお客様が利用するマルチテナント、マルチホストに特化して設定やチューニングをしている環境ですから、その点でのギャップはありました。
エックスサーバーの構成や設定値を共有したうえでプライム・ストラテジー様にレビューしていただき、レビューに基づいて構成や設定値を見直しました。環境の違いはありますから、すべてをそのまま取り入れるのではなく、マルチ環境の設定を優先することもありました。
エックスサーバーのエンジニアチームとプライム・ストラテジー様のエンジニアチームで密に連携して進めることができましたし、苦労した印象はありませんでした。
プロジェクトは当初想定した3ヶ月という期間から大きくずれることなく、スムーズに進んだ。
導入の効果
─ 公開したときの反響はどうでしたか。また、どのような効果を感じられましたか。
辰巳:効果については、技術的、マーケティング、2つの側面があると考えています。
技術的な側面では、実際にサービス環境のアップデートにつながりました。サービスにしっかりフィードバックできたと思います。
マーケティング的な側面では、SNS上で一定の反響がありました。とくにWordPressに詳しいユーザー様には興味を持っていただいたと思います。
プライム・ストラテジーへの期待
─(プライム・ストラテジーの担当者を見ながら)良いフィードバックをいただけてほっとしましたね(笑)。今後のプライム・ストラテジーに期待することがあれば教えてください。
辰巳:WordPress関連の技術、知識といった専門性について、引き続き期待しています。
導入時はレビューにもとづく機能改善を中心に取り組みましたが、社内の体制などもあり、その後の継続的な技術提携については十分に取り組めていない部分もありました。
今後は技術的な取り組みを継続的に協力して進めていくような、より積極的な提携を期待しています。
─ それは楽しみですね。最後に、エックスサーバーとして今後はどのような取り組みをしていくのか、教えていただけますか。
辰巳:レンタルサーバーは多くのお客様にご利用いただいているサービスなので、レンタルサーバー、WordPressについて今後も注力することは変わりません。
その一方で、もっと広い用途でご利用いただける、インターネットインフラ事業者としてのサービス領域の拡大に取り組むことが大きなテーマです。
昨年から、VPSや関連サービスを5つ立ち上げました。
企業理念も「日本のインターネットの未来を支える」へとアップデートしています。今は「エックスサーバー=レンタルサーバー」と認知されていますが、「エックスサーバー=インターネットインフラ、クラウド事業者だよね」と言っていただけるように取り組んでいきたいと考えています。
─本日はありがとうございました!
KUSANAGIは個人の方が気軽に利用できるようなタイプのサービスではなく、エックスサーバーのようなホスティングサービスや他のオンラインサービス事業者と提携することでより多くの方が高速な環境でサイトを閲覧できるようになるので、提携が技術的にもマーケティング的にも効果があって良かったです。(金谷)
プライム・ストラテジー プロジェクト担当者からひとこと
辰巳氏の「最高を提供する」ということへのこだわりと熱い思いをお聞きして、身の引き締まる思いがするとともに、わたしたちも技術とKUSANAGIの価値を高め、エックスサーバー様との「最高」を作っていきたいと思いました。(相原 知栄子)
インタビュアー 金谷氏 プロフィール
2002年から2007年まで株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(現在の株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント)勤務。ECサイトのディレクターを経験し、2007年よりグーグル株式会社(現在は合同会社)勤務。検索のEvangelistとして講演やYouTubeなどで活動。2023年グーグル合同会社を退職し、株式会社 Digital Evangelistを創業。2023年6月プライム・ストラテジー株式会社にて海外マーケティング顧問就任。(金谷武明)
お客様情報
エックスサーバー株式会社 : https://www.xserver.co.jp/
XServer レンタルサーバー : https://www.xserver.ne.jp/
超高速CMS実行マシン「KUSANAGI」について
KUSANAGI はプライム・ストラテジーが開発・提供する高速でセキュアな仮想マシンイメージです。世界37カ国215リージョン、国内外の主要な29プラットフォームでご利用可能(2023年12月現在)で、累計稼働台数は8万台を超えています(2023年10月現在)。
一般的なクラウド環境 (*1) においてページキャッシュ利用時に1秒あたりの同時リクエスト数約25,000超 (HTTP時) 、ページキャッシュ非使用時に1秒あたりの同時リクエスト数約210超 (HTTP/HTTPSとも) を実現します。また、標準のLAMP環境 (*2) と比べ、ページキャッシュ使用時に約2,330倍の、ページキャッシュ非使用時に約20倍の高速化を実現します。
個人ユース向けの「無償版」、ビジネスユース向けの有償版「Business Edition」、Web高速化エンジン「WEXAL® Page Speed Technology®」を搭載したビジネスユース向けの有償最上位版「Premium Edition」の3つのエディションを提供しています。
KUSANAGI 公式サイト:https://kusanagi.tokyo/
*1 Microsoft Azure Standard D4as_v4インスタンス (2.35Ghz AMD EPYC 7452 プロセッサ 4 vCPU, 16GiB), Premium SSD LRS, 東日本リージョン, KUSANAGI 9.1.0-1, PHP 7.4.27, Nginx 1.21.4, MariaDB 10.5.13, WordPress 5.8.2 で計測
*2: Microsoft Azure Standard D4as_v4インスタンス (2.35Ghz AMD EPYC 7452 プロセッサ 4 vCPU, 16GiB), Premium SSD LRS, 東日本リージョン, CentOS 7.9.2009, PHP 5.6.40, Apache 2.4.6, MariaDB 5.5.68, WordPress 5.8.2 で計測